発売から半年ぐらい経ったし、言葉の定義から読み合いのポイントを説明します。
書いてたらすごく長くなったので、ざっくり太字のところだけ読んでいただければ大丈夫。
あと個別のキャラやプレイヤーの話とフレームの話はしません。もっと詳しいサイトや人がいっぱいおるからね。
観戦を楽しみたい人向けの概要
キャラパワーよりキャラ相性
いろんな人がいろんな観点からキャラランク、いわゆるTier表を作成しているが、今作にはそこまで大きなキャラ差はない。どのキャラにも噛み合えば相手を圧倒できるぐらいの強みはある。
一方個別のキャラ相性については、明確な有利不利のある組み合わせも少なくない。例えば、
- 他のキャラ相手なら反撃を受ける技だが一部キャラのみ反撃が届かない。
- 主力技への反撃ダメージが他のキャラより高いため、リスクが増す。
- 主力技がパンチに偏っているため、パンチさばきが機能しやすい。
など。
鉄拳8は過去タイトルに比べて押し切りやすい作りになっているため、複数キャラを用意する必要性は以前よりは薄れたが、メインキャラに相性が悪いキャラを使うプレイヤー用にサブキャラを準備しているプレイヤーは少なくない。
ヒートを絡めた回復可能体力の奪い合い
鉄拳8では、空中コンボなどで受けたダメージが回復可能体力(いわゆる「白ゲージ」)として残り、回復可能部分は相手に攻撃を当てる(またはガードさせる)ことで少しずつ実体力に変換することができる。また、一部の技はガードされた場合でも相手の体力を削り、回復可能体力に変換してしまう(削りダメージ)。
体力は全キャラ共通で180あり、基本コンボでも60~70程度の体力を奪うため、普通に戦っていれば3回浮かされてしまうと終わりであるが、コンボを受けても概ねダメージの半分程度は回復可能体力として残るため、これをいかに回復させるか/させないかが重要な戦略となる。
また、ヒート状態になると削り能力・回復能力が倍増するため、瀕死の状態からうまくヒートをからめたコンボを決めれば一気に体力が逆転ということも珍しくない。そのため、いかにヒートを維持して戦うか、また相手のヒートを浪費させるかの駆け引きも重要になる。
中下だけではなくいろんな二択がある
二択と言えば中段と下段のイメージがあるかもしれないが、それ以外にもしゃがめる上段としゃがめない中段の二択、横に強い技と直線的な技の二択、技を出すか出さないかの二択、はては攻めるか攻めないかの二択など、いろんな形の二択があり、プレイヤーはただ二択を仕掛ける/受けるだけでなく、いまどんな二択が発生しているのかを瞬間的に判断したうえでその二択に対応しなくてはならない。
実況解説はすごいよ
ハメコ。さん、ゲンヤさん、すごいよ。
長くなりすぎるしあんまり深くわかんないことも多いから、この記事では個別のキャラクターやプレイヤーについての話はしないんだけど、実際大会配信見たらこの二人が言ってることでだいたいカバーされていると思う。
こんだけ展開の早いゲームでちゃんと各プレイヤーの意図意図を理解しながら説明できるの偉すぎ。たまにマジで実況解説を置いていくレベルのプレイをする選手も現れるけど。
言葉の定義と役割
上段技
「しゃがんでる相手には絶対に当たらない攻撃」。
しゃがんで避けられると大きな隙を晒すが、発生が早かったり横移動に強かったりと性能の高い技が多い。
守る側はしゃがむと中段が来た時食らってしまい、とはいえ攻め側も中段は概してガードされたときの状況が良くないため、上段・立ちガードで安定させるのがセオリー。
しかし、トップレベルの戦いではそれをさらに読んで「あえてのしゃがみ」でリスクを負ってリターンを取りに行く動きが勝敗を決めることが多々ある。
立ちガードをすることができない「上段ガード不能」や、ガードすると大きく隙を晒してしまい続く攻撃が確定してしまう「ガードクラッシュ(ガークラ)技」など、しゃがまないといけない技も多い。
また投げ技も上段と同じく、しゃがむことで避けられる。
中段技
「しゃがんでいる相手にも当たり、下段ガードできない攻撃」。
ほとんどのキャラの主力技。当てた時のリターンが高い。
勝つために多くのプレイヤーが狙うのは、「いかに相手をしゃがませて中段を当てるか」であり、その布石として性能の高い上段技や視認できない下段技を匂わせて読み合いをしかける。
下段技
「立ちガードができず、空中にいる相手には絶対に当たらない攻撃」。
以下の三種類に大別される。
- 発生が遅く、ヒット時のリターンが大きく、ガードされたときのリスクが大きい技
- 発生が早く、ヒット時のリターンが小さく、ガードされたときのリスクが小さい技
- 発生が早く、カウンター時に大きなリターンがあるが、ガードされたときのリスクが大きい技
1の技は見てからガードできるものが多く、中級段位帯以上ではほとんどヒットしない。
2の技は多くのキャラが主力とする下段で、ダメージは小さく、フレームも当てて微不利~良くて五部のものが多いが、ガードされても小技一発食らうぐらいで済む*1。この種の技が直接勝敗を決めることは少ないが、とはいえ当たれば体力は削られるので、これを匂わせながら相手をしゃがませるための布石として使われる。
3の技はヴィクターや吉光など一部のキャラが持つ下段で、カウンター時はコンボ始動技となるが、通常ヒット時はあまり強くはなく、ガードされると逆にコンボを入れられてしまうという尖った性能を持っている。
もちろん1~3の技の中でもグラデーションがあり、特にドラグノフのシャープナーやフェンの跌釵(てっさ)など、リスクが少しある代わりにリターンも少しあるタイプの技を持っているキャラクターは高く評価されることが多い。
投げ、投げ抜け
投げは上段ガード不能の技で、投げられた側は一定時間以内に投げ技ごとに決まったボタンを押すと抜けることができる。
過去作では上級者は投げを見てからほぼ確実に投げ抜けできたので、特に競技シーンでは投げ抜けによる位置の入れ替えを狙うか、いったん休憩するときぐらいしか使われなかった。今作ではカウンターで投げた場合*2は投げ抜け猶予が半分ほどに短くなり、またパワークラッシュ状態を投げた時*3は投げ抜けができなくなった。
特に上段パワークラッシュは使い勝手がよく振りやすい性能をしているため、それをつぶす選択肢として狙う価値が上がった。ロウやシャオユウなどコンボ始動の投げ技を持っているキャラクターは特に有用。
パワークラッシュ
相手の打撃を受けてもひるまない攻撃。ひるまないとはいっても、ダメージは回復可能ながらしっかり受ける。特徴は以下の通り。
- 下段攻撃は受け止められず、カウンターヒットしてしまう。
- 硬直終了までの間、投げ抜けをすることができない。
- 一発でも打撃を受け止めた場合、ガードされたときのフレームが良くなり反撃を受けなくなる。
キャラによって大きく上段のものと中段のものに分かれており、上段のものは通常ガードでも確定反撃がなく、中段のものは(攻撃を受け止められなかった場合)ガードで確定反撃がある。
なおレイジアーツはパワークラッシュより上位の性能となっており、下段や投げも受け止めて攻撃することができる。
ヒート
1ラウンドに1回、キャラがめちゃくちゃ強くなる。
全ての技に削りがつき、攻撃を当てた時の回復量が倍増し、強力な「ヒートスマッシュ」や「ヒートダッシュ」が使えるようになる。その他キャラごとに個別の強化があり、一部の技が強化されたり、専用技が使えるようになったり、難しい入力が簡略化されたりする。
ヒートの持続時間は最長で15秒だが、攻撃を食らったり当てたりしているときはゲージの減少が鈍化する(止まる?)ため、残り時間をしっかり意識して行動する必要がある。特にヒートが終わりかけの際に、ムリヤリヒートダッシュを使って有利状況を作るのか、ヒートスマッシュを狙うのか/また相手側はそれを見越して守りを固めるか、ヒートを使われる前に攻め切るかという読み合いが発生する。
ヒートを発動するには、ヒートバーストを使用するか、キャラごとに設定されたヒート始動技を当てる必要がある。
ヒートバーストによる発動とヒート始動技による発動の違い
- ヒートバースト(HB)による発動
- メリット
- 任意のタイミングで発動できる。
- 発動すれば必ずヒート状態に移行できる。
- 空中の相手に当てるとバウンドするため、コンボを伸ばすことができる
- デメリット
- ヒートバースト発動自体にヒートゲージを1/3程度消費する。
- パワークラッシュ扱いなので、下段や投げにつぶされてしまう。
→投げを散らしていくメリットの一つ。演出が入るとヒートは発動してしまうので、ヒートを消費させつつ有利な展開に持っていくことができる。
- ヒートバーストではKOできない。
- 横移動に弱い。
- 攻撃部分がスカると隙が大きい。
攻撃部分を出さないこともできるが、それでも見てから確定取れるぐらいの硬直はある。
- メリット
- ヒート始動技による発動
- メリット
- ヒート移行時に回復可能体力が大きく回復する。
- ヒート発動後、相手より先に動けるため有利な攻めを展開できる(投げ技は起き攻めができる)
- デメリット
- 始動技を地上で当てなければ移行できない。
- 始動技が当たったら、必ずヒート移行してしまう。
- メリット
ヒートスマッシュ
キャラごとに性能が大きく違うが、いずれも強力。特に下段ヒートスマッシュを持つキャラ*4、単純にダメージの大きいキャラ*5の場合はそれを意識した立ち回りを相手に強要させられる。
起き上がりと起き攻め
起き上がり方はいろいろあるが、競技シーンで重要なのは三つ。
寝っぱ(寝っぱなし)
無難な選択肢。小技を一発食らえば安全に起き上がれる。
寝っぱを読まれていると大きめの追い打ちを入れられてしまう。
牽制キック
寝た状態からちょん蹴り。発生が早いので使いやすい。
攻撃側としてはたいていの場合当たってもいい前提で起き攻めするが、完全に読まれていると下段さばきなどで対応されてしまう。

スプリングキック
跳ね起きの勢いでドロップキックのような飛び蹴りを繰り出す。
ガードされるとコンボ確定のハイリスクな選択肢だが、ダウン追い打ちの下段をかわして攻撃するので当たりやすい。
なお今作で当たってもダウンを取れなくなったのでリターンは微減。

気合溜め
全キャラ共通で攻撃ボタン全部同時押しで発動できる。
気合状態になると、次の攻撃がカウンターヒット扱いになる代わりにガードができなくなる。つまり二択のリターンが大幅に上がることになる。
そのため、窮地に立たされたプレイヤーが一縷の勝機をつかむために気合溜めをするケースがある。
【参考】よく言われるいわゆる「三すくみ」について
トッププロの競技シーンだと、三すくみを前提としてさらにメタなやり取りをしているため、観戦にあたって三すくみを特に意識する必要はないと思う。
なので参考程度に説明します。
三すくみとは、
- 攻め(二択)は置きに弱い
- 置きはスカ確に弱い
- スカ確は攻め(二択)に弱い
という鉄拳の読み合い構造を指します。
メタなやり取りと書いたのは、鉄拳というペースが非常に速いゲームにおいて、「相手は置きが多めだからスカ確を重視しよう」「今までこちらが置きを意識していたから相手はスカ確を見るようになっている。攻めに切り替えよう」というように、試合の中で読み合いを漸次切り替えていく*6という構造になっているということ。
あえてスト6で例えると
- 攻め
前歩きかラッシュ。有利取って投げと打撃の択を仕掛けるための行動。
相手が落ち着いてると小技で止められる。 - 置き
牽制もしくは垂直ジャンプ。春麗とかが鳳翼仕込んだ追突置いたり、ジェイミーがラッシュ仕込み中K置いたり。もしくは相手の突進技に対して垂直ジャンプを見せる動き。
相手に見られてると差し返される。飛ばれると最悪。 - スカ確
差し返し。相手の小技を見ることに意識を割き過ぎると、歩かれたり飛ばれたりする。
まとめに代えて~個人的な鉄拳8の競技シーン観戦の醍醐味
ぶっちゃけ個人的には競技という面でいうと鉄拳8はそんなに厳密ではなくて、どちらかというと単なるプレイ以外の要素……運とか流れみたいなものの影響が他のタイトルに比べて大きいように思う。多少実力差があっても、お祈りでぶっぱなした浮かせ技が通ればそのまま1ラウンドとれてしまうということは珍しくない。
他のタイトルが将棋やチェスなら、鉄拳はポーカー……というとちょっと言いすぎか。ただ休憩する暇のない圧倒的な展開スピード、そして各キャラ強みがかみ合ったときの高い爆発力のため、いかに状況を把握して押し引きの判断ができるかというメンタルスポーツの側面は大きい。特に大舞台では、二択を通すこと以上に、自信をもって自分の選択を決めることができる選手が勝っている印象を受ける。基本的なゲーム攻略やキャラクター対策を十分にしたうえで、最後まで崩れずに攻め続けられるかが求められるようだ。
EWCが終了して鉄拳8初年度の競技シーンはひと段落だが、12月には渋谷でTWTファイナルが開催される。マジで意味わからん試合が見られると思うのでぜひ見に行くといいだろう。